小宇宙
小宇宙とは銀河系からは遠く離れた一個の恒星体系で、その形は渦巻き状またはだ円状や不定形のものもあります。何100億という星の巨大集団で、規模は銀河系宇宙に匹敵します。小宇宙相互の平均距離は約200万光年とみなされます。
小宇宙団は銀河系外の小宇宙が数100個集って一つの集団を作るもので、大熊座、おとめ座の星座にあるのをはじめとして数100個の小宇宙団が発見されています。
M82小宇宙は大熊座にある光度九等の不定形小宇宙で、1961年リンズにより強力な電波天体として注目されましたが、62年春、サンデージは赤感乾板により多量の水素ガスの噴出物を発見し、また分光観測の結果では噴出速度は秒速1万キロに達しました。この小宇宙は1千万光年の彼方ありますが、噴出速度から通算すると、爆発は150万年以前、噴出物質総量は太陽の500万倍と推定されました。
M87小宇宙はおとめ座にあり、多くの球状星団を持った、大型のだ円小宇宙で1千万光年の距離にあります。この方向からは強烈な電波が観測されましたが、バーデはこの小宇宙の一部にみられる小突出部が強い偏光を示す噴流であることを、写真で確認し、そのエネルギーはかに星雲の1億倍であることが推測され、この光の噴流は、陽子と反陽子の衝突と考えられる可能性がありました。M87小宇宙はそのスペクトルが吸収線も輝線もない異例なもので、かに星雲とは違い、シンクロトンなどの高加速電子の出す制動輻射と同じものであることが、偏光写真で確認されました。しかし、一時、想定されたように正宇宙と逆宇宙の衝突とするにはまだ材料が不十分でした。

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