銀河系の中心

銀河系宇宙の中心部は、いて座の方向約3万光年の距離にあるが、銀河面にそって分布する星間物質の吸収によって可視域光線では直接に観測することは不可能でした。
ジャンスキーが1931年に初めて発見した宇宙電波は、銀河系の中心部からくるものですが、51年ビディントン及びミンネットは電波観測により、その存在を確認し、この電波源は、いて座Aと呼ばれました。様々な周波数の電波で観測され、角直径5分と確定され、波長21センチの水素原子の出す電波の速度分析からは、半径1千光年、厚さ250光年の円板状に分布し、太陽の二億倍の総質量をもつ星の集団が予想されました。また波長数ミリの電波観測ではこの領域にOH基、水蒸気、ホルムアルデヒドなどさまざまの分子の存在も確認されました。ノイゲバウアによる赤外線観測によって、銀河中心核の存在が光学的に発見され10ミクロン領域、100ミクロン領域と様々な波長域での観測が進み、従来の中心部以外に数個の点源が発見されました。またロウによるジェット機観測では1200ミクロンまで波長域が拡張されました。これらの赤外線の強度から考えると、中心核部では太陽近傍の1000万倍の密度で星が密集し、1万年に一度は星同士の衝突が起こる勘定になります。点源の中にはペテルギウスの如き超巨星と考えられるものもありますが、長波長域の放射は星ではな一く、電波と等しくシンクロトロン放射によるものと考えられ、かに星雲のような超新星の残がいが数個あれば説明できます。従来、銀河系宇宙は定常的な静かな体系と考えられていましたが、これらの赤外線観測の結果は、QSO、セイファート小字宙と同様な活発な変化を示す中心核を持つことが明らかにされたのです。

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